2014年09月25日

●8月の薬局ディスプレイ「ザンクト・マング・アポテーケ」フュッセン

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*St. Mang Apotheke

フュッセンは「ロマンチック街道」の南の起点で、ドイツで一番有名な観光スポット、ノイシュヴァンシュタイン城の近くに位置します。人口は1万5000人ほどですが、日本を含めた世界中からの観光客で賑わう町です。毎日多くの観光客が通過していく反面、ドイツ国内や近隣諸国からの長期滞在者も多い町です。というのも、アルプスに向けて山岳景観が色濃くなり、自然が豊かでアクティブな休暇が楽しめるからです。また、リハビリ専用病院や療養施設も整っています。今年のドイツは記録的な冷夏で、この写真を撮影した8月中旬も朝夕はセーターが必要なほど涼しかったのですが、このフュッセンの町は滞在客で賑わっていました。
フュッセンの小さな旧市街には3店舗の薬局が営業しています。その一つザンクト・マング・アポテーケのディスプレイには、サイクリングの装備をしたマネキンと自転車、そして牛の写真が小道具として置かれていました。この町の典型的な滞在客、ハイキングとサイクリングを楽しむ人の目を引きます。その手前には筋肉痛を和らげるジェル、日焼け止めクリーム、スポーツドリンク、エネルギー供給サプリメント、入浴剤といったものが飾られていました。どれもハイキングやサイクリングを楽しむ人が必要なものです。特に疲れて帰ってきたあと、普段はシャワーだけで済ませるドイツ人でも、バスタブに入浴剤を入れてリラックスするというのは休暇ならではの贅沢なひと時なのでしょう。こういったものは、常備薬として家から持ってきた旅行用薬箱に入っていなくても、ディスプレイを見て現地調達する方が多くいるのでしょう。ここの薬剤師はそれを知っているのですね。
つけ加えると、薬局名であるザンクト・マングというのはフュッセンの守護聖人セント・マグヌスのことです。フュッセンには薬局と同名の、9世紀設立のザンクト・マング修道院があります(ドイツ在住・中村典子)

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*人の目を惹きつける楽しいウィンドウ

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*サイクリングの装備をしたマネキンと自転車

2014年08月25日

●7月の薬局ディスプレイ「ウンターリンデン・アポテーケ」フライブルク

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*Unterlinden Apotheke

フライブルクはドイツ南西部、「黒い森」の中心地の自然の豊かな大学町です。今回紹介するのは、その旧市街の一角、ウンターリンデン通りにある薬局です。リンデンというのは菩提樹のことです。
この薬局は角店で、大きなショーウィンドウが目を引きます。そのディスプレイの一つには、ペットの犬や猫のために、アスピリンでお馴染みのバイエル社が発売している条虫駆除剤とノミの予防・駆除剤が、かわいらしいイラストとぬいぐるみを使って飾られていました。他のディスプレイには、ヴェレダ社の新製品の男性用シャワージェルの大きなチューブと男性用お手入れ製品、またその隣には女性用の植物性育毛サプリと脱毛防止シャンプー/トリートメントが飾られていました。
これって、何か変ではないですか?イメージとして、男性に育毛剤、女性にお肌のお手入れ用入浴剤ですね。男女に提供するものが入れ替わっています。ウンターリンデン薬局の薬剤師さんは、経験からお客様が望んでおられるものを知っているのか、または需要の掘り起こしをしようとしているのかもしれません。(ドイツ在住・中村典子)

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*条虫駆除剤とノミの予防・駆除剤のディスプレイ

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*女性向けのディスプレイ

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*男性向けのディスプレイ

2014年07月03日

●6月の薬局ディスプレイ 「ヨーロッパ・アポテーケ」

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*EUROPA APOTHEKE

6月12日から開幕した、2014FIFAワールドカップ。
ドイツの薬局では、ワールドカップにちなんだディスプレイをしているところが多く見られました。
薬の話題だけではなく、スポーツも取り入れて遊び心を感じます。
皆様の薬局でも、オリンピックなどのスポーツのイベントをディスプレイに取り入れてみてはいかがでしょうか?
この薬局では、薬局のスタッフの方が担当して飾り付けを行います。
ドイツでは薬剤師になるための教育課程で、ディスプレイの仕方の講義もあります。(服部理恵)

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*上記とは異なる壁面のディスプレイです

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*W杯の対戦カードのボードを掲示し、
 毎日薬剤師さんが結果を書き入れています

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*店内からのディスプレイ
 日本からお土産のタオルも飾っていただきました


2014年06月02日

●5月の薬局ディスプレイ 「ドクター・レスラーのホーフ・アポテーケ」バーデン・バーデン

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*Dr. Rössler‘s Hofapotheke

バーデン・バーデンはドイツ屈指の高級療養地です。温泉は既に紀元前に発見され、植民地を北に広げていった古代ローマ帝国の兵士たちも、ここで旅の疲れを癒しました。現在でも65度の温泉が沸いています。19世紀前半に、フランスの宮殿の間を再現したカジノが付け加わり、王侯貴族をはじめとして上流階級が集うようになり、『ヨーロッパの夏の首都』と呼ばれるようになりました。
そのバーデン・バーデンにあるドクター・レスラーのホーフ(宮廷)薬局は175年を越える歴史のある薬局です。丁度カジノが置かれたクアハウスが建てられたすぐ後の1838年に、フランス人建築家によってアンピール様式(ナポレオン1世の帝政様式)で店舗がデザインされたということです。今回の薬局ディスプレイでは、月々で変わるものではなく、その美しさに心を奪われる、家具、床、薬瓶をご覧になっていただきます。現代のパッケージ薬や化粧品を並べると、なんともアンバランスですが、この薬局が持つ歴史に惹かれてここに来る方も少なくないのではないかと思います。(ドイツ在住・中村典子)

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2014年05月01日

●4月の薬局ディスプレイ 「ウニヴェルズィテーツ・アポテーケ」ハイデルベルク

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*Universitäts Apotheke

昨年の夏に紹介したウニヴェルズィテーツ・アポテーケに再登場していただきます。昨年はライオンの剥製で道行く人の注目を引きつけました。今回は大きな登山靴とそこから出ている不思議な草(?)が薬と共にショーウィンドウに現れました。道行く人が立ち止まって見入っていました。一瞬「これは何?」と思いますが、その上にある“Fußpilz?”(水虫?)という言葉と、赤く毒々しいキノコの絵から「アッ、そうか」ということになります。
2枚ある説明書きの1枚には、水虫から起こる爪白癬による爪の変化をあげ「サンダルを履くシーズンには隠せません、放っておいても絶対に治癒しません」と続きます。もう1枚には、水虫の症状、原因、進行するとどうなるかという警告が記載され「当薬局では水虫に対する効果的な治療法や予防法をアドヴァイスします」と締めくくっています。昔は不治の病(?)だった水虫も、今日では完治します。しかし治療には数週間から数ヶ月かかるということで、4月から始めて丁度夏の休暇に間に合うということから、今、このディスプレイなのでしょう。
水虫という、人に言えない悩みを持つ人は多いと思いますが、このディスプレイはおおらか、かつユーモラスで「ここの薬剤師にちょっと相談してこようか」という気持ちにさせるかもしれません。(ドイツ在住・中村典子)

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*おおらか、かつユーモラスなディスプレイ

2014年04月01日

●3月の薬局ディスプレイ 「ノルトヴェスト・アポテーケ」フランクフルト・アム・マイン

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*Nordwest Apotheke

化粧品が並ぶディスプレイが多い中、今回は薬だけでディスプレイしていた薬局を紹介します。ノルトヴェストというのは「北西」という意味で、フランクフルト北西部の住宅地の中にある小規模な薬局です。この地区はフランクフルトの中心部から10キロほどの位置にあります。地下鉄網が充実していて、集合住宅が立ち並ぶ、大都市周辺の典型的なベッドタウンです。また近年、薬学部を含めたフランクフルト大学の自然科学系のキャンパスが町中からこの地区に移転してきています。
入り口を挟んで二つあるショーウィンドウの一方にはLibokal(花粉症のための点眼剤)とVaprino(下痢止め)、もう一方にはDulcolax(便秘薬)、Boxagrippal(風邪薬)、Vaprino(下痢止め)、Nasenspray Ratiopharm(鼻づまり用スプレー)、Ginkobil(イチョウ葉エキス)、Magnesium Verla(マグネシウム)といった薬剤が並べられていました。これらは全てOTC薬、並びに薬局でしか取り扱えないサプリメントです。ドイツでは処方せん薬をPRすることは法的に許されていません。
写真からは読み取れませんが、この薬局は昼に1時間半店舗を閉めて昼休みを取ります。それを補うものとして、薬の配達をしてくれます。この薬局からは、地域に根ざした、薬の販売を中心にした昔ながらの薬局という印象を受けました。(ドイツ在住・中村典子)

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2014年03月11日

●2月の薬局ディスプレイ 「カールスベルクのラ・ヴィ・アポテーケ」ヴァインハイム・アム・ベルクシュトラーセ

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*La Vie Apotheke am Karlsberg

ヴァインハイムは「オーデンの森」という低山地帯がライン平野に向かってなだらかになっていく「山の辺の道-ベルクシュトラーセ」に位置し、周りにはブドウ畑や果樹林が広がる緑豊かな町です。人口は43,000人ほどの小さな町ですが、不織布メーカーとして世界的に有名なフロイデンベルク社の本社があります。旧市街には木骨組み建物が多く残り、ベルクシュトラーセを観光で訪れる人々が立ち寄る美しい町です。こういった背景のせいか、歩いてどこにでも達せられる直径1キロほどの小さな旧市街地に9つの薬局がひしめき合っています。
その中で今月はラ・ヴィ薬局を紹介します。この薬局はヴァインハイムの中央通りにある2011年開局の新しい薬局です。
“La Vie” というのはフランス語で、「生活、生命、人生」といった意味になります。「カ-ルスベルク」というのは薬局近くにあるショッピングセンターの名前で、この町の薬局の多さから、場所のイメージで見つけてもらいやすいようにという趣旨だと思われます。
通りに面する部分は入り口も含めて全てガラス張りで、ディスプレイも行っていますが、それを通り越して薬局内全体が見渡せるデザインになっています。薬局の入り口近くには薬用化粧品が手に取って見られるように配置され、一番奥に販売のカウンターが見えます。外からもウィンドウを通して、2月のセール商品ということで、Dr. Hauschkaの化粧品が15%引きとなっていることがわかります。注目を店内に奪われがちなディスプレイですが、2月にふさわしく、雪だるまやソリと一緒に「冬のお肌の手入れ」というテーマで入浴剤、クリーム、ボディローションといったものが並んでいました。外に置かれた大型の透明ボウルには、入浴剤、Weleda社のボディローション、ビタミンC補給のためのサプリメントといった2月の割引商品が入れられていました。

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