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2007年12月03日

●ドイツ●ロッテンブルクにて「薬局の日」(吉岡ゆうこ)

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*「Central Apotheke」

2007年6月の第2木曜、ドイツ「薬局の日」。今年はドイツ薬剤師会が「薬局の日」を制定してから10年目に当たる節目の年です。是非一度は見に行きたいと思っていたドイツ薬局の日を、今年は念願叶い間近に見てきました。訪ねたのはドイツ在住の日本人薬剤師であるアッセンハイマー慶子さんが経営する「Central Apotheke」。スイス国境近くのロッテンブルクという町の中心にあります。
今年のテーマは「メタボリックシンドローム」。店の前にテントを広げ、血糖値、コレステロール値、血圧の無料測定会を開いていました。ドイツでは有料にてコレステロールの測定も薬剤師が行っています。この日のイベントについては新聞の1面にドイツ薬局の日が解説してあり、地域の薬局が名前を連ねて広告を載せたり、それぞれの薬局独自で広告を載せたりしていました。 
朝の開局時8時半から、店の前にはお客さんがぞろぞろ。ロッテンブルクに住む高齢の方々が次々と血糖値やコレステロール値を測定されていました。そして井戸端会議の始まり。ちょうど店の前にある広場の菩提樹は花が満開中。ヨーロッパでは、菩提樹は千の用途をもつ木として古くから知られ、神聖な木として崇められてきました。葉が美しく、花の香りがよいので街路樹として好まれているそうですが、ほんとうにそうでした。訪ねた6月の第2週、ドイツのどの町に行っても菩提樹の花が満開でその甘いにおいが町中漂っていました。

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* 訪ねた6月は季節もよく菩提樹の花が満開
  薬局前広場は甘い香りに包まれる

慶子さんのお店では薬局の日のイベントに積極的に取り組んでいるのですが、ドイツの薬局全てがそうではないということが今回わかりました。イベントを実施するにはお金がかかりますので、取りやめているところも増えているそうです。というのもドイツの薬局経営は現在非常に厳しくなっています。2005年、いままで処方せんで保険召還されていた日本で言うところの「OTC類似薬」が保険召還されなくなり、OTC薬として全額患者の自己負担になりました。その影響は重いようで、いつも行くお店のオーナーたちは口を揃えて、処方せん枚数が減ったと嘆いておりました。今ドイツは「ドイツキリスト教民主同盟」の女性首相「アンゲラ・ドロテア・メルケル」氏の政権になっていますが、健康保険制度改革に関しては薬局に対する風当たりがますます厳しくなっているそうです。いつも行くドイツ薬事博物館のある都市ハイデルベルクで、薬局がなくなっているところがあり、つぶれたの?と言う感じでした。ドイツは日本の2、3年先を行っているようで、厳しい環境を見せつけられました。
そんな中、少しでも薬局の意義を住民の方に伝えましょうとがんばっておられる慶子さんの姿にはいつも心をうたれます。日本でもがんばらなくてはというエネルギーをもらって帰ってきました。

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*お店の前に「街角メタボ度チェック所」設置